Citations:麗しい

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Japanese citations of 麗しい

  • 1889, 幸田露伴, 風流仏:
    珠運は段々と平面板に彫浮べるお辰の像、元より誰に頼まれしにもあらねば細工料取らんとにもあらず、唯恋しさに余りての業、一刀削ては暫く茫然と眼を瞑げば花漬めせと矯音を洩す口元の愛らしき工合、オヽそれ/\と影を促えて再一ト刀、一ト鑿突いては跡ずさりして眺めながら、幾日の恩愛|扶けられたり扶けたり、熱に汗蒸れ垢臭き身体を嫌な様子なく柔しき手して介抱し呉たる嬉しさ今は風前の雲と消えて、思は徒に都の空に馳する事悲しく、なまじ最初お辰の難を助けて此家を出し其折、留められたる袖思い切て振払いしならばかくまでの切なる苦とはなるまじき者をと、恋しを恨む恋の愚痴、吾から吾を弁え難く、恍惚とする所へ著るゝお辰の姿、眉付媚かしく生々として睛、何の情を含みてか吾与えし櫛にジッと見とれ居る美しさ、アヽ此処なりと幻像を写して再一鑿、漸く二十日を越えて最初の意匠誤らず、花漬売の時の襤褸をも著せねば子爵令嬢の錦をも着せず、梅桃桜菊色々の花綴衣麗しく引纏せたる全身像|惚た眼からは観音の化身かとも見れば誰に遠慮なく後光輪まで付て、天女の如く見事に出来上り、吾ながら満足して眷々とながめ暮せしが、其夜の夢に逢瀬平常より嬉しく、胸あり丈ケの口説濃に、恋|知ざりし珠運を煩悩の深水へ導きし笑窪憎しと云えば、可愛がられて喜ぶは浅し、方様に口惜しい程憎まれてこそ誓文移り気ならぬ真実を命|打込んで御見せ申たけれ。
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  • 1894, 泉鏡花, 義血侠血:
    渠は質素なる黒の紋着きの羽織に、節仙台の袴を穿きて、その髭は弁者より麗しきものなりき。
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  • 1897, 清水紫琴, したゆく水:
    仰面て、例の美麗しき髭を撫で上げ、撫で下ろし、幾度か沈吟の末『誠にどうも、気の毒な訳ではあれど、近い内、邸を出てはくれまいか』と。
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  • 1898, 徳冨蘆花, 小説 不如帰:
    今の身の上を聞き知りてか、昔の学友の手紙を送れるも少なからねど、おおかたは文字麗しくして心を慰むべきものはかえってまれなる心地して、よくも見ざりき。
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  • 1899, 清水紫琴, 移民学園:
    栄耀の餅の皮は、あのくつきりと美麗しいお顔に粘り付いたやら。
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  • 1901, 黒岩涙香, 幽霊塔:
    と、問いつつ熟々其の姿を見ると、顔は声よりも猶麗しい、姿も婀娜として貴婦人の様子が有る、若し厳重に批評すれば其の美しさは舞楽に用ゆる天女の仮面と云う様な塩梅で、生きた人間の顔としては余り規則が正し過ぎる。
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  • 1903, 紀貫之, 土佐日記:
    この泊の濱にはくさぐさの麗しき貝石など多かり。
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  • 1908, 伊藤左千夫, 隣の嫁:
    竜の髭の実は実に色が麗しい
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  • 1918, 豊島与志雄, 生と死との記録:
    十月十八日、空が晴れて日の光りが麗しかった
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  • 1919, 牧野信一, 駒鳥の胸:
    艶子の頬は、女神のやうに麗しく輝きました。
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  • 1920, 牧野信一, 嘆きの孔雀:
    あれは私が奏でゝゐるのです、と云つても悟りの悪い貴方には解らないでせう、ね、あれは皆私の声の反響なんですぜ、私のこの麗しい声、今こうして貴方に話してゐるこの声が、森や河にこだましてゐるのです、それを貴方は音楽だなんて思つてゐるのです。
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  • 1920, 牧野信一, 青白き公園:
    皆さん、ちよつと静かな窓の外を御覧なさい、何と麗しく天心に止まつた秋の月は輝いて居るではありませんか。
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  • 1921, 長谷川時雨, 明治美人伝:
    大日輪の光りの中から聖帝がお生まれになったのならば、天地馥郁として、花の咲きみちこぼれたる匂いの蕋のうちに、麗しきこの女君は御誕生なされたのである。
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  • 1921, 長谷川時雨, 一世お鯉:
    その行列の、美しい御殿女中のなかに、照近江のお鯉も交っていたのか、ほどなく、わたしは一枚の彩色麗しい姿絵を手にした。
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  • 1922, 大町桂月, 日月喩:
    日の光は明かにして強く、月の光は清くして麗しく、おのづから陰陽のけぢめあるは、男の徳の剛を貴び、女の徳の柔を貴ぶに譬ふべし。
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  • 1926, 戸坂潤, 幾何学と空間:
    それ故このような麗しい分類法も数学のテクニックに属するのであって、吾々がそれから直接には得る処が少いということは当然であると云わねばならぬ。
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  • 1926, 蒲松齢, 五通:
    それは十五、六の麗しい女で、その後には一人の婢がつきそっていた。
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  • 1927, 島崎藤村, 山陰土産:
    「洞窟内に通ずる海水は空氣の如く明澄で、これより麗しい洞窟は世界中殆ど想像し得ない」とは、ラフカヂオ・ハアンがこゝに遊んだ時の言葉と聞く。
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  • 1927, 小熊秀雄, 憂鬱な家:
    『花』『お日さま』『星』『蝶々』などといふ、麗しいものを覚えこまずに病気のごろつき犬や、不吉な鴉や尻に汚らしい糞を皿のやうに、くつゝけて済ました顔をしてゐる牛共の言葉を覚えこむとは何事だらう。
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  • 1936, 坂口安吾, 不可解な失恋に就て:
    といふのはその頃まで決して散歩の同伴者に男性をまぢへなかつた先生が、恋のはじまるとまもなく、男性それも若く快活にして麗しい青年のみを数名選び、散歩のお供の列に加へた。
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  • 1943, 正岡容, 随筆 寄席風俗:
    芸の世界においても両者を兼ね備えた、つまり本筋にして眉目麗しく華やかであるなどという人材の登場は、何十年にいっぺんしか約束されない。
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  • 1947, 海野十三, 千早館の迷路:
    ややあって帆村は顔をあげ、麗しき客の面を見た。
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  • 1947, 坂口安吾, 母の上京:
    その姿の麗しくみづみづしいのは、女のやうななで肩で、細々と痩せ身のせゐであつたらうが、フンドシ一つではとんと河鹿が思案にくれてゐるやうで、亡者が墓から出てきたばかりのやうに土の上にションボリ坐つてゐる。
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  • 1950, 金子薫園, 松園女史の思い出:
    と、いつか女史のかたへに来て居った、女史に似た眉目の麗しい童すがたが、見知らぬ私の方をものめずらしそうに見るのであった。
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  • 1951, 原民喜, 永遠のみどり:
    よく晴れた麗しい日和で、空気のなかには何か細かいものが無数に和みあつてゐるやうだつた。
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